
これまでのコラムで何度か、日本人にとって難しい発音の克服方法をご紹介してきましたが、今回は声調についてのお話です。
中国語をはじめ、東南アジアの言語に見られる「声調」ですが、日本人にとってはまったくなじみのない概念です。日本語でも、ひとつの単語や文のなかで音の トーンを上げ下げするイントネーションやアクセントというものが存在しますが、中国語ではひとつひとつの音節において音の高低が変化します。おまけに、こ れを誤ると意味が通じないときているわけですから、慣れるまでは相当に手こずるシステムです。会話をしながら頭の中に楽譜のようなものを描き、それに沿っ て音を上げたり下げたりしていると、まるで話をしているというよりは歌を歌っているような気分にすらなります。
頭の中に「声調楽譜」を描かずとも自然に会話ができるようになるまで、筆者も相当な時間を費やしました。しかも、学習を進める中で、この「声調楽譜」は万 能ではないのだということにも気づきました。教科書で習う通りの声調を一言一句たがわずに再現しても、実はネイティブらしい話し方は身につかないのです。
「あなたの話し方にはフラットさが足りない。声がやたらに上下するんだもの。自然に聞こえないわ」筆者はある日、知り合いの中国人にこう指摘されました。
彼女の発言は、筆者にとってなかなかの衝撃でした。中国語は「声調」こそが命なのではないのか?上がったり、下がったり、平らだったり…これらを正確に発声するのがルールではないのではないのか?ましてや、“フラットに”話したら意味が通じないではないか???
しかし、ネイティブスピーカーの話し方によく耳を傾けてみてください。実は、彼らは必ずしも一音一音にはっきりと声調をつけ、歌うように話しているわけではないのです(次回へ続く)。
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